2026-09-15
乳房全切除後の再建|Motiva(モティバ)インプラントによる遅延再建の症例
乳房全切除から2年半が経過した後、Motiva(モティバ)インプラントを用いて行われた遅延再建(二次再建)の症例を詳しく解説。放射線治療歴がある痩せ型の症例におけるインプラント選択、組織拡張器(エキスパンダー)の判断、ダウンタイムや傷跡、触感の経過について紹介します。バストだけでなく自分らしい日常を取り戻すための再建ソリューションです。


全切除から約2年が経ちました。今からでも復元は可能でしょうか?
もちろん可能です。「遅延再建」によって復元することができます。
乳房再建には、全切除と同時に行う「一次再建(即時再建)」と、全切除後に一定の回復期間を経てから行う「二次再建(遅延再建)」の2つの方法があります。
この2つの手術にはそれぞれ明確なメリットとデメリットがあります。遅延再建の場合、胸の手術をもう一度受けなければならないというデメリットはありますが、形やサイズの選択肢がより自由であるという大きなメリットがあります。
本日は、全切除後に遅延再建を受けられた症例を通じて、遅延再建のプロセスを一緒に見ていきましょう。
患者様一人ひとりの再建症例に合わせたソリューションを追求する胸の主治医、メロン美容外科のキム・ジュウォンです。

2023年に両側乳がんにより乳頭・乳輪を含む両胸を切除された後、
約2年半が経過してから遅延再建を決断された症例です。再建はMotiva(モティバ)豊胸術で行いました。
全切除当時は再建の計画よりもがん治療に専念され、放射線治療や抗がん剤治療を終えてから
乳房全切除後の再建を検討されたケースです。
通常、放射線治療を受けると胸の組織が線維化し、硬くなります。そのため、将来的に再建を検討する際はエキスパンダー(組織拡張器)を挿入して硬くなった組織を伸ばします。組織にある程度の柔軟性が生まれて初めて、インプラントが入るスペースを確保できるからです。
エキスパンダーを使用する場合、拡張器で組織を伸ばした後に再建手術を行うため、手術が2段階になり、より長い期間が必要となります。今回の患者様もこの点に負担を感じていらっしゃいました。一度の手術で再建を済ませたいと希望されていたのです。
乳房再建は観察し、考慮すべき点が多いため、希望通りの方法で進めることが難しいケースも少なくありません。
乳房全切除後の遅延再建のケースも同様です。

乳房再建は、一般的な豊胸手術とは確認すべきポイントが異なります。現在の胸の状態や身体的条件はもちろん、過去の治療歴や身体の反応などまで綿密に確認してこそ、美しさと健康の両方を余すことなく守ることができます。
患者様は痩せ型の体型でした。左右の胸の状態で異なっていたのは、右胸に放射線治療を受けていたためです。線維化が起きて皮膚が硬くなっており、弾力性も低下していました。胸に残っている皮膚も薄く、余裕が少ない状態でした。
このような場合、「エキスパンダーを使うべきか」と考えることもありますが、拡張器の選択は医師の繊細な判断が求められる段階です。患者様のように薄く残った皮膚を無理に伸ばそうとすると、皮膚を伸ばせたとしてもインプラントの輪郭やしわが浮き出て見える「リップリング(Rippling)現象」が生じるリスクがあります。
エキスパンダーを使用せずに再建術を進める場合でも、インプラントの選択には細心の注意を払わなければなりません。インプラントの弾力による柔らかさの度合いや幅、プロジェクション(突出度)、動きも考慮する必要がありますが、皮膚が耐えられるボリュームがどこまでなのかを見極めることも大切だからです。
術後1〜2週目|手術から日常生活への復帰まで

今回の患者様の遅延再建にはMotivaインプラントを使用しました。
左に320cc、右に300ccのサイズを挿入しました。左の肩甲骨が突出している体型的な特徴や、左右の胸の皮膚弾力性がそれぞれ異なることを考慮した選択です。
昨今のインプラントの優れた技術力は、全体的に高い水準に達しています。そのためデメリットはますます小さくなり、メリットが際立つ構造を持つようになりました。Motivaインプラントはサイズ展開がより細かく、しっかりとしたハリがありながらも自然で柔らかい動きが特徴です。複雑な症例において左右の対称性を整え、被膜拘縮(カプセル拘縮)のリスクを下げる点でも大きな強みを発揮します。今回の患者様のケースもまさにそうでした。
患者様は1泊2日の入院を経て、3日目からはご自身で洗髪ができるようになりました。日常生活への復帰は早い方でした。ただし、放射線治療を受けた右胸の皮膚が硬くなっていたため、バストの復元はできたものの、胸の高さには左右で差が見られました。
切除術後の乳房再建は、胸の組織とインプラントが安定するスピードや皮膚が伸びるスピードなどが症例ごとに異なります。回復にも比較的時間がかかります。術後の初期段階では、左右対称の完成度よりも血流や回復状態、組織の状態を最優先で確認します。
乳房再建|再建手術でも触感と傷跡は段階的に馴染んでいきます

手術を受けた胸が美しく見えるのは、生まれつきの胸に比べて適度なハリ感をもたらすからでもあります。これは乳房再建術の場合にも当てはまります。乳房切除術を受けていても、皮膚と脂肪層が厚く残っていれば、通常の手術のように柔らかくハリのある触感が形成されます。
反対に残っている組織が少なく皮膚が薄い場合は、インプラントの縁やしわが触れるリップリング現象が起きることがあります。手術前にこのような点も考慮しておくことが望ましいです。
また、被膜拘縮(カプセル拘縮)の発生についても知っておいていただきたい点です。乳房再建の症例では、放射線治療などの影響により通常の手術に比べて被膜拘縮の発生確率がやや高くなります。放射線はがん細胞を死滅させるほど強力なエネルギーを持っています。そのため正常な組織にも痕跡を残し、皮膚組織が線維化して血流の供給が低下する結果をもたらします。これは被膜を分厚く硬くする原因の一つです。もし乳房再建後に被膜拘縮が起きると、胸が硬くなるなど触感が低下することがあります。
感覚の面でも通常の手術と若干の違いが生じることがあります。乳房切除術を受けている場合、手術の過程で微細な神経がある程度切断されるため、再建初期には他人の皮膚のように鈍く感じられることがあります。そして、このような感覚の鈍麻は通常の手術よりも長引く場合があります。
傷跡は通常の手術と同程度に残ります。再手術と同じと捉えていただくとわかりやすいかもしれません。インプラントを用いた再建は、乳がん切除術の際にできた既存の傷跡をそのまま利用して切開を行います。新たに切開を加えるわけではないため、胸の傷跡が新たに増えることはありません。エキスパンダーを入れて組織を伸ばし、インプラントに入れ替える2段階の手術を受ける場合も同様です。同じ切開線からアプローチします。
自家組織を用いて再建を行うケースでは少し異なります。手術自体が身体の他の部位から組織を採取して胸へ移植するプロセスとなるため、新たな傷跡が残ります。腹部から組織を採取した場合は下腹部に傷跡が残ります。帝王切開の傷跡に似ていますが、長さはより長めになります。背中から組織を採取した場合は、背中側のアンダーバストラインに沿って傷が残ります。
術後数か月間は、傷跡に赤みが出たり盛り上がったりしやすい時期です。しかしこれは回復の過程であり、時間が経つにつれて次第に落ち着き、本来の肌の色へと馴染んでいきます。ただし放射線治療歴がある場合は経過が異なることがあり、傷跡部分の皮膚が硬くなったり黒ずんだりといった色素沈着が起きる可能性があることはご理解いただくと安心です。
乳房再建|乳房再建は日常を取り戻してこそ完結します

術後6か月目の様子です。以前と比べて形や触感が明らかに安定し、腫れも引いています。タートルネックを着てもふんわりと立ち上がるラインが現れ、以前のバストラインをある程度取り戻した日常の姿です。放射線治療を受けた右胸も、ゆっくりと位置を馴染ませながら安定していく経過をたどりました。
乳頭の復元はまだこれからでしたが、胸のボリュームが再び戻ったという事実だけでも、ある程度の心の安らぎを取り戻されたようでした。水泳も再開されたという嬉しいご報告をいただいたことを覚えています。
乳房再建は、失われたバストを復元することで女性らしさを取り戻すことを目指すものですが、日常の回復もまた決して見過ごせない大切な要素です。心理的な萎縮は、鏡を見るときだけに生じるものではありません。服を着るとき、運動をするとき、買い物をするとき、誰かと会うときなど、予期せぬ瞬間にふと自分が小さくなってしまったような気持ちになります。実際にカウンセリングを行っていても、乳房再建を決断されたきっかけは日常生活のふとした瞬間だったという方がとても多いのです。
乳房再建|乳房切除術と乳房再建は異なる領域の手術です

乳房切除術と乳房再建術は、成り立ちの異なる2つの手術です。乳房切除術はがんを取り除く治療目的の外科手術であり、乳房再建術は失われた胸を立体的に復元する整容的な目的を持つ形成外科・美容外科手術です。
乳がんの手術ががんを退治する積極的な攻撃だとすれば、乳房再建術は戦火の跡を温かく包み込み、癒やすものだと私は考えています。
全切除から約2年が経ちました。今からでも復元は可能でしょうか?
ですから、切除術を受けてから年月が経っていたとしても、決して遅いとは思わないでください。
胸も、日常も、再建するのに遅すぎるということはありません。
ご自身が持つ可能性をぜひ確かめてみてほしいと思います。
再建症例に関するより詳しいソリューションをお求めの方は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

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よくある質問
乳房全切除から数年経っていても再建手術は可能ですか?
はい、遅延再建(二次再建)という方法で十分に対応可能です。全切除後に抗がん剤や放射線治療を完了し、一定期間が経過してから行う遅延再建は、患者様の体型や状態に合わせてインプラントの形状やサイズをより柔軟に選択できます。
インプラントによる乳房再建で新しい傷跡は残りますか?
いいえ、新たな切開の傷跡は残りません。インプラントを用いた乳房再建は、がん切除手術の際にできた既存の切開線をそのまま活用するため、バストに余計な傷跡が増えることはありません。
放射線治療を受けた胸でもインプラント再建は可能ですか?
はい、精密な診断を行った上でインプラントによる再建が可能です。ただし、放射線治療を受けた部位は皮膚の線維化や血流低下により、被膜拘縮や左右非対称のリスクが比較的高まるため、皮膚の弾力や厚みを慎重に見極めてインプラントを選択する必要があります。
乳房再建後、胸の感覚はいつ頃戻りますか?
感覚の回復には通常の豊胸手術よりもやや時間がかかります。切除術の過程で微細な神経が切断されるため、術後初期は他人の肌のように鈍く感じることがありますが、時間の経過とともに段階的に落ち着いていきます。
皮膚が薄い場合でも組織拡張器(エキスパンダー)を使わずに一度で再建できますか?
はい、皮膚や組織の条件が整っていれば拡張器なしの1回の手術で可能です。ただし、薄い皮膚に無理な拡張を避けてインプラントの浮き出やリップリング現象を防ぐため、皮膚が負担なく受け入れられる適切なボリュームのインプラントを繊細に選定することが大切です。